リールのハンドルノブをカスタムしようとしても、種類がたくさんありすぎて、どれにしようか迷いますよね。
よく調べずに購入すると、イメージ違いに後悔したり、用途が合わずに釣果を下げてしまうこともあります。
今回は、そんな失敗を避けるためにも、「カスタムパーツに大金を注ぎ込んだリールカスタムマニア」の筆者が「カスタムハンドルノブの選び方」(バスフィッシング用)を紹介します。
ハンドルノブは「リールとあなたを繋ぐ一番の接点」です。
用途にあったハンドルノブを使うことで、釣りの快適性、さらには釣果アップに繋がって、皆さんの釣りライフがより豊かなものになります。
ぜひ最後までお読みください。
【結論】ハンドルノブを選ぶ「3つのステップ」について
ハンドルノブは次の3つのステップで選ぶことが大切です。
上から順に重要度が高いので、まずは自分の釣りのスタイル(タックル)にあったサイズを理解しましょう。
サイズさえ失敗しなければ、100点満点の70点は取れたも同然です。
残りの形状と素材は好みの問題とも言えるので、人によって正解が異なりますが、こだわり抜いて100点満点を目指しましょう。
ここから詳しく解説していきます。
ハンドルノブ交換(カスタム)のメリット/デメリット
まずはハンドルノブ交換のメリット/デメリットを整理します。
ハンドルノブに限らず、リールのカスタムはメリットだけでなく、デメリットをしっかり理解することが重要です。
メリット
- リールの性能を上げる
- ドレスアップ効果で見た目が良くなる
- オリジナリティを演出できる
性能の向上に関しては、「全体的にステータスを高める」というよりは、「ひとつのステータスを特化させる」というイメージがより正しい表現になります。
だからこそ「自らの釣りスタイルにあったハンドルノブ選び」が重要になってきます。
また、「趣味としての釣りをいかにして楽しむか」という観点では、こだわりのリールは釣りライフを充実させる鍵になると筆者は考えています。
自分だけのお気に入りの1台を作ることで、手持ちのリールに対して、更に愛着が湧いてきますよ。
デメリット
- デチューン(リール性能を下げる)の可能性がある
- メーカーのオーバーホールが受けられなくなる
- パーツのコストがかかる
想定外のデチューンを回避するためには、カスタムの目的をきちんと定めてからパーツを選択することが重要です。
例えば、ドレスアップが目的として、それに合ったパーツを選んで性能が下がったとしても、事前に納得していれば、そのカスタムは成功と言えます。
またオーバーホールについては、一時的に純正品に戻すことで受け付けてもらえますし、リールのカスタム沼にハマると、だんだんと自分でメンテナンスできるようにもなってきます。
パーツ代は趣味として割り切れるかどうかでしょう。
ものによっては、ハンドルノブのカスタムコストで、エントリークラス~ミドルクラスのリールが新品で買えてしまいます。
カスタム沼にハマれば感覚は麻痺します。
サイズ/形状別ハンドルノブの選び方
ここでは、サイズ/形状を切り口にしたハンドルノブの選び方を紹介します。
タックルとノブサイズ/形状の関係性(バランスが大事)
釣りのスタイル(タックル)とそれに合うノブサイズ/形状の関係性を下表にまとめました。
わかりやすさを重視して3パターンに分けていますが、各パターンの境目はグラデーションですので、大枠の考え方として参考にしてください。
タックル | ノブサイズ/形状 | 重量 | 扱い方 |
---|---|---|---|
【ライトタックル】 軽量/抵抗弱ルアー | 小さい、細い 全長36mm以下 | 軽 | 指先で繊細に触れる |
【ミディアムタックル】 中量/抵抗並ルアー | 並 全長38mm(最大幅23mm)※ | 中 | 2~3本の指で掴む |
【ヘビータックル】 重量/抵抗強ルアー | 大きい、太い 全長42mm以上 | 重 | 指全体や掌でしっかり握る |
ハンドルノブは、タックルバランス(ロッド/リール/ライン/ルアー等)を意識して、それにあったサイズ/形状を選択することが重要です。
例えば、ヘビータックルに小さく細いハンドルノブを選んでしまうと、ハンドルノブ交換のメリットを享受できないばかりか、デメリットのみが目立ち、釣果を下げてしまうことも。
カスタムハンドルノブは正しく選んでこそ効果を発揮します。
代表的なハンドルノブの形状と特徴について
I型/平型(平ノブ)
バスフィッシングで使用する多くのリールの純正に採用されている形状です。
純正に採用されるだけあって、汎用性の高さが特徴です。
裏を返せば「可もなく不可もなく」なノブ形状ですので、用途特化で作られることが多いカスタムハンドルノブでは、あまり採用されていません。
丸型(円筒型)
クランクベイト等の巻き物中心の釣りをする方に人気の形状です。
特徴は「どこを握っても面が同じ」であることです。
釣りの一連の動作において、ハンドルノブは断続的に触ることが多いのですが、I(平)型は、「無意識に」平らな部分を指で探すことになります。
この平型ノブ特有の無意識動作がストレスに繋がったり、巻き始めにわずかな差を生むことになりますが、丸型ノブにはこれがありません。
ラッパ型/瓢箪型(パワーノブ)
付け根から外側に広がるラッパ型/瓢箪型は、グリップ力の高さとすっぽ抜けの少なさが特徴で、力の入れやすさに重点を置かれた形状です。
重量級または引き抵抗が大きいルアーを安定して巻き取れるため、多くのパワーノブ(大型ハンドルノブ)に採用されています。
素材別ハンドルノブの選び方
純正のハンドルノブは「ラバー素材」が一般的ですが、カスタムハンドルノブは様々な素材のものがあります。
ここでは、「代表的な5つ素材」とそれぞれの特徴(メリット/デメリット)を紹介します。
素材別ハンドルノブの特徴まとめ
軽量性 | 感度 | グリップ | 耐久性 | 見栄え | |
---|---|---|---|---|---|
EVA | △ | △ | ○ | △ | × |
コルク | ○ | △ | △ | × | ○ |
チタン | ○ | ○ | △ | ○ | ○ |
ウッド | △ | △ | △ | × | ○ |
樹脂系 | × | △ | ○ | ○ | △ |
おおまかに特徴を捉えるために「独断と偏見」で各素材の特徴をまとめました。
これを踏まえつつ、後続の素材別の特徴(詳細)を読むと、より理解が深まります。
①EVAノブ
EVAとはEthylene Vinyl Acetate Copolymer(エチレン・ビニール・アセタート・コポリマー)の略称で、用途が広く優れた熱可塑性(熱すると軟らかく、冷やすと硬くなる)合成樹脂のひとつです。
カスタムハンドルノブの素材として、最もスタンダードな存在です。
メリット
- 純正品と比べて重量増に繋がりにくい
- 手触りが良くグリップ力に優れる
- 水分や紫外線に強い
- 様々な形状やカラー展開に対応できる
デメリット
- 高温下(60℃~)では変形の恐れ有り(夏場の車内放置に注意)
- 長期間使うとテカリが出てくる
- 見た目の表情が乏しく、のっぺり感がある
②コルクノブ
コルクとはコルク樫から剥いだ樹皮のことで、ロッドのグリップでもお馴染みの素材です。
コルクのロッドグリップにコルクのハンドルノブをあわせると、統一感のあるタックルに仕上げることができます。
メリット
- 純正品と比べて重量増に繋がりにくい
- 天然素材ならではのソフトな触り心地
- 水に強く腐りにくい
デメリット
- 濡れると滑りやすい
- 汚れ(黒ずみ)や匂い(魚臭など)が残りやすい
- 長期間の使用すると小さな穴があく「目抜け」が発生しやすい
③チタンノブ
チタンとは、元素記号「Ti」で表現される金属のことで、高価格、高品質な素材です。
加工が難しいためか、取り扱うメーカーが少なく、選択肢は限られます。
メリット
- 軽くて感度が良い
- 強度が高く、耐食性がある(錆びにくい)
- 独特のメタリックな質感、見た目
- 吸い付くような触り心地
- (意外?)冬でも手が冷たくならない
デメリット
- 他素材に比べて高価
- 商品数が少なく選択肢が限られる
- 好みが分かれるメタリックな見た目
④ウッドノブ
渓流のトラウトフィッシングではお馴染みのウッドノブですが、バスフィッシングにもおすすめです。
ウッドノブの見栄えや雰囲気は他の素材と比べて圧倒的です。
メリット
- 使い込むほどに色合いが変わって味が出る
- 見た目や雰囲気が良く、写真映えする
- 個性を出しやすい(周りと被りにくい)
デメリット
- チタンなどの金属に比べると柔らかく、感度が落ちる
- 衝撃に弱く、割れや傷になりやすい
- 天然素材のため、まったく同じものは手に入らない
⑤樹脂系ノブ
近年ではパワーハンドルノブに多く見られる素材です。
パワーハンドルノブでは、素材のデメリットでもある「重量」を「慣性による巻き取り易さ」というメリットに変えています。
ハンドルノブは必ずしも軽さが正義ではないということです。
メリット
- 水濡れに強く、グリップ力が高い
- 耐久性が高く、長期間の使用においても劣化が少ない
- 汚れに強く、魚の匂いも付きにくい
デメリット
- 他素材に比べて重量増に繋がりやすい
- 弾力性があるため感度は鈍りやすい
- 高温に弱い(ただし釣りの場面ではよほど影響はない)
まとめ
- ハンドルノブ交換のメリット/デメリットは?
-
メリット
- リールの性能を上げる(引き出せる)
- ドレスアップ効果で見た目が良くなる
- オリジナリティを演出できる
デメリット- 選択を誤るとデチューン(リール性能を下げる)になる
- メーカーのオーバーホールが受けられなくなる
- パーツのコストがかかる
- カスタムハンドルノブにはどんな種類があるの?
-
サイズ、形状、素材の大分類とそれらの小分類を代表例をもって整理しました。
- サイズ
- 小(全長36mm以下)
- 中(全長38mm前後)
- 大(全長42mm以上)
- 形状
- I型/平型
- 丸型/円筒型
- ラッパ型/瓢箪型
- 素材
- EVA
- コルク
- チタン
- ウッド
- 樹脂系
- サイズ
- カスタムハンドルノブの選び方とは?
-
まずは表①でタックルとの相性を考えて、サイズ/形状を絞りこみ、次に表②で素材の特徴を踏まえて、好みのノブを選んでください。
表①
スクロールできますタックル ノブサイズ/形状 ノブ重量 扱い方 【ライトタックル】
軽量/抵抗弱ルアー小さい、細い
全長36mm以下軽 指先で繊細に触れる 【ミディアムタックル】
中量/抵抗並ルアー並
全長38mm(最大幅23mm)※中 複数の指で掴む 【ヘビータックル】
重量/抵抗強ルアー大きい、太い
全長42mm以上重 指全体や掌でしっかり握る ※メーカー純正ノブを基準にしています 表②
軽量性 感度 グリップ 耐久性 見栄え EVA △ △ ○ △ × コルク ○ △ △ × ○ チタン ○ ○ △ ○ ○ ウッド △ △ △ × ○ 樹脂系 × △ ○ ○ △